日中米のゲーム業界における生成AI導入実態調査(後編)― 日本・中国編を公開
〜生成AIのゲーム導入は日本は“裏方”、中国は“全面実装”。ユーザー調査ではゲーム体験向上や新作リリース増加への期待が明らかに~
株式会社スパイスマートは、ゲーム業界におけるAI導入実態調査の後編として、日本・中国におけるゲーム企業によるAI活用の動向をまとめたレポートを公開しました。本調査は2025年7月に公開した前編(米国編)に続くもので、各国のスタンスや導入傾向を比較分析したものです。
またこれに合わせ、本調査の共同企画パートナーである株式会社ゲームエイト(本社:東京都渋谷区、代表取締役社長:沢村 俊介 以下、ゲームエイト)が運営するゲーム総合情報サイト『Game8』にて、生成AIに対するゲームユーザー意識調査の結果を14日に公開予定です。

【調査概要】
調査期間:2022年以降
調査内容:
・日本・中国・米国市場においてリリースされたゲーム(モバイルに限らずPC・Steam・コンシューマー全て含める)のうち、その開発工程においてAI技術が活用されたタイトル事例
・具体的なタイトルに言及しないものの、ゲーム企業がゲーム開発においてAIを活用していると明言している事例
調査方法:AIが活用・導入し制作したという公式発表、およびイベント・セミナーなどで企業が発表した内容を報道する関連メディア記事を調査し集約
生成AI導入における方針・戦略の差が鮮明に

調査の結果、生成AI導入におけるスタンスや導入領域において、国ごとに以下のような明確な傾向が見られました。
アメリカ:
コーディングやデバッグ、運用最適化などの開発支援用途に生成AIを限定導入。著作権や労働問題への懸念から創作領域での導入は抑制的ですが、NPCの自動生成や台詞生成などプレイヤーとの自然な対話や行動を可能にするAI NPCの導入は進んでおり、そのインタラクティブ性に注目が集まっています。
中国:
Tencent・NetEaseなどの大手企業は自社のAIラボや大規模モデルを活用し、画像・音声・動画・NPC・UGC生成など幅広い領域で生成AIを実装。なかでもAI NPCの導入が進んでおり、会話や動作の自動生成による高度なプレイヤー体験が実現されています。また、作中での詩の生成や動画制作など、AI体験そのものがゲームの魅力となっている事例も見られました。一部の企業では外部企業からの投資による支援を受けAI関連事業を進めるなど、生成AIが業界の中での競争力強化の中心的要素の一つとなりつつあります。
日本:
AIは主に「開発効率化の裏方ツール」として活用されることが多く、ユーザーに触れる領域において企業は導入に慎重な姿勢。背景には「AIで魂のこもった作品は作れるか」という文化や価値観がありますが、その一方でユーザーにとってはゲーム体験の向上や新作リリースの増加など、生成AIへ高い期待が寄せられていることも見過ごすべきではない大きなポイントと言えます。
ユーザー意識調査でも“使い方の線引き”が浮き彫りに
合わせて本レポートでは、ゲームエイトが実施した日本のゲームユーザーを対象とした意識調査の一部も紹介しています。
この調査によると、全体の66%のユーザーが生成AIの導入に肯定的な回答を示し、特に「新しいゲーム体験の創出」や「開発効率向上による新作リリースの増加」への期待が高いことがわかりました。一方で「ゲーム内の音声生成」については慎重な意見も多く、10代では半数以上が「受け入れられない」と回答しており、年齢や導入領域によって受け入れの差が見られる結果となりました。
レポートについてのお問い合わせ
この【日・中・米】ゲームにおける生成AI導入事例調査レポートは、スパイスマートが提供する『LIVEOPSIS(ライブオプシス)』会員向けに配信中。
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